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この考えに名前を与えた書籍と、その土台となるライブラリー。議論を支えるすべての研究と本に注釈を付け、私たちに不利なものも含めて公開しています。どうぞ答え合わせをしてください。
注釈付きライブラリー
議論が立っているライブラリー。
議論の流れに沿って並べています。 不利な証拠 の印が付いた項目は、反対側にとって最も強力な材料です。疑っている方は、そこから読んでください。
ものさしの問題 — 豊かさのあとも地位は残る
Social Limits to Growth(『成長の社会的限界』)
私たちの議論の第一段階を支える、最も重要な一冊。地位財、つまり物理的ではなく社会的な希少性こそ、成長だけでは地位の競争が終わらない理由です。
Is the Desire for Status a Fundamental Human Motive?
地位の希求は文化・性別・年齢を超えて根源的だ、と結論づけたレビュー。ものさしを無くせるふりをするのではなく、より良いものさしを設計する理由がここにあります。
The Theory of the Leisure Class(『有閑階級の理論』)
「顕示的消費」という言葉は、それを実証する現代の消費者が現れる前に生まれました。風刺的で、実証研究以前のものでありながら、いまなお「見せびらかしとしてのお金」の最も鋭い描写です。
お金、幸福、生きがい
Income and emotional well-being: A conflict resolved
「年収7万5千ドルで頭打ち」という俗説を葬った敵対的協働研究。幸福は大半の人で対数所得とともに上がり続け、約10万ドル超で頭打ちになるのは最も不幸な2割だけでした。私たちは俗説ではなく、意図してこちらを引用します。
Long-Run Effects of Lottery Wealth on Psychological Well-Being 不利な証拠
スウェーデンの宝くじ高額当選者は、当選から20年経っても人生への満足度が高いままでした。お金が因果的に効くことを示す最もクリーンな証拠です。「お金は重要ではない」と主張する人は必ずこの研究を乗り越えなければなりません。だからこそ、私たちはそうは主張しないのです。
Rising morbidity and mortality in midlife among white non-Hispanic Americans
「絶望死」の発見。経済が必要としなくなった人々の間で、自殺、薬物の過剰摂取、アルコール性肝疾患が増えている。所得の喪失だけでなく、仕事と共同体と生きる意味の喪失が原因だ、という二人の解釈には異論もあり、本人たちも慎重に論じています。
Purpose in Life and Its Relationship to All-Cause Mortality and Cardiovascular Events
13万6,265人を対象としたメタ分析。交絡因子を調整したうえで、生きる目的は死亡率の約17%の低さを予測します。観察研究であり調整済みではあるものの、実験的に切り分けられたことはありません。
ウェルビーイングが何でできているかについて、最も検証された説明。自律性、有能感、関係性。このリストに何が載っていないかに注目してください。
Why Are the Unemployed So Unhappy?
仕事を失う痛みは、失った給料の分では説明できないほど大きい。仕事が収入だけでなくアイデンティティと目的を運んでいることを示す、古典的なパネルデータの証拠です。
Suicide: A Study in Sociology(『自殺論』)
「アノミー」という概念の出どころ。そして、好景気にも自殺が増えたという観察。繁栄が意味を追い越すという発見は、19世紀からあったのです。
Economic Possibilities for our Grandchildren(「孫の世代の経済的可能性」)
ポスト希少性の問いを最初に立てたテキスト。何も求められなくなったとき、人は何をするに値するのか。成長の計算はおおむね正しかったのに、彼の予言した週15時間労働は来ませんでした。その理由こそ、このサイトの半分が扱っている主題です。
パラドックスの研究 — 報酬はいつ蝕み、いつ蝕まないのか
The Gift Relationship: From Human Blood to Social Policy 不利な証拠
贈り物にお金を払うとそれを壊してしまう、という警告の原点。一律には成り立たないことを示した2013年のメタ分析(下記)とあわせて読んでください。真実は伝説より狭く、そして面白いのです。
Incentivizing Blood Donation: Systematic Review and Meta-Analysis to Test Titmuss' Hypotheses
伝説の検算。対照研究を通してみると、インセンティブは献血に対して全体として負の効果を示しませんでした。自分たちの側への訂正も引用する。それが私たちの約束です。
パラドックス全体の見取り図。予告された、形のある、条件付きの報酬は意欲を蝕み、称賛はそれを強め、不意打ちの報酬は害を与えない。「値段ではなく名誉のように」の実証的な土台です。
ハイファの保育園の研究。お迎えに遅れた親に罰金を科すと、遅刻はむしろ増え、規範は二度と戻りませんでした。有名で鮮烈ですが、2020年の追試は再現に失敗しています。私たちはその両方の事実を併記します。
Incentives and Prosocial Behavior
メカニズムの解明。報酬は、善い行いがその人について物語るものを濁らせます。徳にお金を払うと、かえって徳が減りうる理由。ノーベル賞経済学者の筆によるものです。
What Money Can't Buy: The Moral Limits of Markets(『それをお金で買いますか』)
「腐敗」と呼ばれる反論の、哲学的な定式化。善きものに値段を付けると、その意味が変わってしまう。このセクションで最も読みやすい一冊です。
Honours versus Money: The Economics of Awards
動機づけを締め出すのではなく呼び込む、唯一のインセンティブ。それが名誉です。インフレ、嫉妬、誤り。私たちの設計が制約として引き受けている失敗のかたちも収められています。
Fostering Public Good Contributions with Symbolic Awards
ウィキペディアでのランダム化比較試験。金銭的には無価値な、仲間から贈られるバッジが、ボランティアの定着率を約20%高めました。象徴的な承認が与える心を強くするという、最もクリーンな因果の証拠です。
The Nature of Slacktivism 不利な証拠
人目につく形だけの善意の表明は、のちの実質的な助けを減らします。目に見える善行ひとつが、その後の悪い振る舞いの免罪符になりうる(d ≈ 0.31。出版バイアスで過大になっている可能性は著者ら自身が認めています)。「イメージの経済」という反論の全容であり、反論10で答えています。
Motivational Spillovers from Awards: Crowding Out in a Multitasking Environment 不利な証拠
純粋に象徴的な皆勤賞が裏目に出た事例。働き手は基準を攻略し、もともと時間を守っていた人たちはむしろ悪化しました。名誉を値段のように、つまり固定され公表された基準で組み立てると何が起きるか。インパクト本位制がそうした基準を持たない理由です。
Superstar CEOs 不利な証拠
名誉が腐敗する例。賞を獲ったCEOは手を抜き、報酬を引き出し、利益を粉飾するようになります。承認が、責任ある仲間からの敬意ではなくメディアの与える名声になったとき、何に変わるか。私たちの「贈り手の重み付け」が避けようとしている失敗です。
測定とその病理
"Improving ratings": audit in the British University system
誰もがグッドハートの言葉だと思っている一文の出典。「測定が目標になるとき、それは良い測定であることをやめる」(訳)。監査文化が組織に何をするかを論じた、わずか5ページの論文です。
Assessing the impact of planned social change
キャンベルの法則。利害の大きい指標は、それが監視するプロセスそのものを腐敗させる。グッドハートの法則の双子であり、その社会の側の半分を明文化したものです。
Coercive Citation in Academic Publishing
調査に答えた研究者の5人に1人が、引用を強要された経験を持っていました。世界最古の相互承認の仕組みが、数えられる数字に圧縮されたとき起きたことです。
The Matthew effect in science funding
採択ラインをわずかに上回った研究者は、ほぼ同等の僅差落選者の2倍の研究費を積み上げていきます。承認は、何かが減衰させない限り、複利で貴族制へと固まっていくのです。
Action needed to make carbon offsets from forest conservation work for climate change mitigation
「検証済みのインパクト」が買えるようになると何が起きるか。実体のない削減量がおよそ3倍も過剰にクレジット化され、25年を振り返るレビューは大半のプログラムが失敗したと結論づけました。換金できない設計の論拠が、トン単位で積み上がっています。
China's Social Credit System in 2021: From fragmentation towards integration
中国が実際に何を作ったのかについての、まじめな研究。統一されたスコアは存在せず、それでもなお萎縮効果はある。どちらの向きに使うにせよ、あの俗説を持ち出す前の必読文献です。
Wealth Inequality Is Even Worse in Reputation Economies 不利な証拠
フィクション史上最も有名な評判通貨を生み出した作家自身が、なぜそれがひどいものになるかを説明しています。反対側の手で書かれた、私たちの要件定義書です。
Working in Public: The Making and Maintenance of Open Source Software
実際に動いている承認の経済についての、最良のフィールドワーク。そしてその病理も。スターの数は人気を追いかけ、見えないメンテナーは燃え尽きていく。どちらの教訓も、私たちが引き受けるべきものです。
アテンション・エコノミー
Designing Organizations for an Information-Rich World
「情報の豊かさは、注意の貧しさを生む」(訳)。インターネットが存在する前にアテンション・エコノミーの到来を見抜いていた、ノーベル賞受賞者の言葉です。
Emotion shapes the diffusion of moralized content in social networks
56万3,312件のツイートの分析。道徳的・感情的な単語がひとつ増えるごとに、拡散率は約20%上がります。「目立つこと」のものさしが何を選び出すのか、その実測値です。
Engagement, user satisfaction, and the amplification of divisive content on social media
事前登録された監査研究。エンゲージメント順のランキングは、ユーザー自身が望まないと答える外集団への敵意を増幅していました。エンゲージメントは好みではありません。ただ測られてしまったものにすぎないのです。
注意を刈り取る産業の歴史と、それを拒むための現代最良の手引き。このセクション全体への、最も読みやすい入り口となる2冊です。
設計の先例と系譜
地球上で最も近い先行研究。購買力が測定された貢献と等しくなる通貨を、PageRankのように計算するところまで作り込んでいます。私たちは根本のところで異なります。人について計算されるのではなく、人から贈られるものであり、そもそも通貨には決してならない。そのうえで、この知的負債には名前を添えて敬意を払います。
A Flexible Design for Funding Public Goods
クアドラティック・ファンディング。「いくら払うか」ではなく「何人が気にかけるか」で実際のお金を動かす仕組みとして、最も広く実装されてきました。記録に残るそのシビル攻撃の数々が、私たちに「ひとりの人間にひとつの重み」という制約を教えてくれました。
Plurality: The Future of Collaborative Technology and Democracy
価値の複数的でコミュニティ規模のガバナンスをめざす、現代で最も射程の広いプログラム。私たちの隣人ですが、同じではありません。彼らの仕組みはお金を配分し、私たちのものさしはお金になることを拒みます。
The Gift (Essai sur le don)(『贈与論』)
贈与を通じた地位の人類学。そして、贈与が軍拡競争のように激化しうるというポトラッチの警告。先例であると同時に、戒めでもあります。
共同体は中央の統制も私有化もなしに共有物を統治できる、という証明。8つの設計原理が添えられています。「複数的で、コミュニティ規模で、仲間によって統治される」の実証的な背骨です。
お金の仕事は「誰が誰のために何をしたか」の記録で代替できる、という形式的な証明。これにより「その記録は何を忘れるのか」は、詩的な問いではなく技術的な問いになります。
「唯一のものさしとしてのGDP」は世界規模でも王座から降ろせる、という証明。そして、ひとつの数字への圧縮に抵抗し続けたセンの姿勢には、私たちが複数性のルールに組み込んだ警告があります。
A Short Guide to Gross National Happiness Index
ブータンが実際にGNHをどう算出しているか(2008年以降、9つの領域)。あとから遡って語られた起源の物語や、ロツァンパの人々の追放という影も添えて引用します。ものさしは、良心ではないからです。
The Great Transformation(『大転換』)
市場社会は経済と社会の関係を逆転させた、という古典的な議論。価値を貢献で裏づけることは、ポランニーの言葉で言えば「再埋め込み」です。しかも、市場を壊さずに。
約500社の設立に関わった人物による、道徳と経済は一体であるという思想。使命を第一に置く資本の、日本の系譜です。その哲学に測定の仕組みが与えられることは、これまでありませんでした。
成長そのものが危機だと論じ、50万部に達した日本のベストセラー。報いる先を誤っているという診断は共有しつつ、処方箋で道を分かちます。私たちは、ものさしを変え、市場は残します。
労働、仕事、活動。機械が労働を引き受けたとき残るのは活動、すなわち他者のあいだで行為する生です。AIがこの問いを切実なものにする半世紀前に、アーレントはポスト労働の問いに名前を与えていました。
所得の床、仕事、そして豊かな未来
Evaluation of the Finnish Basic Income Experiment
所得の床についての実際の証拠。ウェルビーイングは改善し、労働は崩壊しませんでした。正直な限界も添えます。豊かな国で、暮らせる水準の床を丸ごと検証した例は、まだありません。
フロンティアAI企業のCEOが、AIのもたらす豊かさを予測し、それに見合う再分配を提案した文章。私たちはこれをあるがままに引用します。利害当事者による予測ですが、どちらに転んでも、ものさしの問いを切実にするものです。
Work: A Deep History, from the Stone Age to the Age of Robots
人はなぜこれほど働くのか、そして果てしない労苦は人間の本性ではない、という人類学。サーリンズの論争含みの「始原のあふれる社会」の、慎重な後継者です。
Less is More(『資本主義の次に来る世界』) & Doughnut Economics(『ドーナツ経済』)
隣り合う枠組み。脱成長は経済の物量の向きを変え、ドーナツは経済の目標の向きを変えます。どちらもマクロ政策であり、私たちが扱うのは、その両方が開けたままにした問い、すなわち個人が何で測られるかです。両立可能で、そして別物です。
上のすべての項目と、このサイト全体でなされる主張は、ウェブサイトのリポジトリにある公開の出典監査で管理されています。引用にあたって私たちが背負うべき注意書きも、そこに添えてあります。誤りを見つけたら、教えてください。それ自体がひとつのインパクトです。