やさしい言葉
用語集
このサイトで使うすべての用語を、 聡明な16歳が経済学の授業なしで議論の全体を追えるように定義しました。どこかのページにある言葉が ここに見当たらず、載せるべきだと思ったら、教えてください。
私たちの言葉
- インパクティズム(Impactism)
- 世界観であり、運動です。お金ではなく、インパクトを人生のものさしにするべきだ、という考え。 「資本主義(capitalism)」が資本を中心に組織された世界を名指すように、インパクティズムは貢献を中心に 組織された世界を名指します。(この語自体は私たちより前に使った人たちもいます。このサイトにある 具体的なテーゼは、私たちのものです。)
- インパクティスト(Impactist)
- 運動のメンバー。宣言に署名し、自分の人生を「何を貢献したか」で測ることを選んだ人なら、誰でも。 会費もなく、テストもなく、スコアもありません。
- インパクト本位制 The Impact Standard
- インパクティズムの内側に組み込まれた仕組み。人について称えるものは、かつてお金が金に裏づけられて いたように、貢献に裏づけられるべきだという提案です。栄誉のように働く、人の値打ちの尺度であり、 人から贈られ、決して権威によって計算されず、決してお金と交換できません。
- 単位(the unit)
- コミュニティの内側で、インパクトの承認がとる形。感謝、保証人になること、立ち会われた時間。 その手ざわりは、あえて未決定のままです(声に出して明言している未解決問題です)。一方、そのルールは 決まっています。人から贈られる。減衰する。複数である。決してお金に換えられない。私たちは意図して、 これを通貨と呼びません。通貨とは換金して使うものであり、それこそ、この設計全体が禁じる失敗モード だからです。
- インパクト(impact)
- あなたの存在が、ほかの人の人生にもたらす違い。あなたのおかげで誰かが食べられた、学べた、癒えた、 自由になれた、声を聞いてもらえた。それがインパクトです。企業レポートではありません。葬儀の言葉を、 生きている人に贈るものです。
- 称える手紙(Recognition Letter)
- 運動の最初の行動。お金の成績表が見落とした貢献をしたひとりを、具体的な言葉で称える手紙です。 私的に渡し、決してお金を添えません。インパクティストのメンバーシップは、これを1通書いたときに 始まります。書き方と、その理由。
- サークル(Circle)
- 互いの本当の仕事に立ち会う5〜15人。月に1時間集まり、貢献を声に出して名指します。点数もなく、 順位もなく、記録もありません。栄誉が機能すると証明されている規模です。手順はたった1ページ。
- The Uncounted(数えられなかった人々)
- 年に一度の栄誉のリスト。どんなランキングにも見えない貢献をした人々を、立会人が推薦し、計算ではなく 選考でまとめ、順位をつけずに、本人の同意を得て公表します。長者番付の正反対です。 誰かを推薦する。
- 床(the floor)
- 生存を賄う最低限の所得保証。人の値打ちのどんな尺度も、「食べられるかどうか」を決めることが決して ないようにするためのものです。インパクティズムの提案はすべて床の上にあり、床の下に手を伸ばすことは 決して許されません。
- フェーズ1/フェーズ2(Phase 1 / Phase 2)
- 2つのフェーズのモデル。フェーズ1は現在。お金がまだ世界を回しており、私たちはその傍らで貢献を 見えるようにし、称えられるようにします。フェーズ2は、ありうる未来。機械の豊かさと床によって、お金が 人生を縛らなくなり、インパクトが第一のものさしになる世界です。スイッチではなく、曲線。フェーズ2を 信じなくても、フェーズ1には参加できます。
単位の性質
- 人から贈られる(peer-conferred)
- あなたの貢献に立ち会った人たちから贈られる、ということ。企業や政府やアルゴリズムによって、 あなたについて計算されるのではありません。
- 贈り手の重み(giver-weighted)
- 承認は、称えられている物事のなかで本当の値打ちを持つ人から来るとき、より重くなります。あなたが 救ったプロジェクトのエンジニアからの「ありがとう」は、見知らぬ千人の「いいね」にまさります。 インパクトが人気投票に崩れ落ちるのを防いでいるのが、この性質です。
- 減衰する(decaying)
- 人の値打ちは、新しい貢献によって更新されないかぎり薄れていきます。測るのは「かつて誰だったか」では なく、「いま誰であるか」。初期の勝者が永久の貴族になるのを防ぎます。
- 換金不可(non-convertible)
- インパクトの値打ちは、決して買えず、売れず、お金と交換できません。承認が現金に換わった瞬間、それは 値段になり、値段は触れた与える心を腐らせます。(値打ちは、信頼のような、より柔らかい利益をなお漏らします。 設計が禁じるのは現金化であって、帰結ではありません。)
- ひとりにひとつ(personhood-bounded)
- ひとりの人間に、ひとつの存在。承認は実在の人間に結びつくので、偽アカウントで量産することも、 まとめて買うこともできません。
- 複数性の生態系(plural ecology)
- 多くのコミュニティ、多くのインパクトの尺度。そして、グローバルなものはひとつもない。あなたの街区、 あなたのプロジェクト、あなたのご近所が、それぞれのやり方で貢献を承認します。そして、どんな ダッシュボードも、それらを足し合わせてひとつの数字にはしません。
このサイトで出会う考え
- ものさし/成績表(yardstick / scoreboard)
- 社会が人の値打ちを測るために使うもの、すなわち野心が照準を合わせる先を指す、このサイトの言い方。 いまのものさしはお金です。ものさしのなかった社会は、これまでひとつもありません。
- 地位財(positional good)
- 他人より上に立つことから価値が生まれる財。地位、限定性、最前列の席。その希少性は物理的ではなく 社会的なので、経済がどれだけ成長しても、全員がより多く持つことはできません。(フレッド・ハーシュの 用語、1976年。)
- アテンション・エコノミー(attention economy)
- 人間の注意こそが、奪い合われ、売られる希少資源である仕組み。再生数、クリック、フォロワー。 ハーバート・サイモンは1971年にこの論理を見抜いていました。情報が豊富になると、注意がボトルネックに なるのです。
- 動機づけのクラウディング(motivation crowding)
- 外的な報酬が、善いことをしたいという内なる欲求を弱める(「押し出す=クラウドアウトする」)ことが ある、という研究知見。主に特定の条件下で起きます。報酬がお金に近く、事前に約束され、契約的であるとき。 事後に自由に贈られる承認は、これまでの証拠では、むしろその欲求を強める傾向があります。
- 栄誉と値段(honor vs. price)
- このサイト全体の中心にある区別。値段は、事前に約束され、契約的で、使うことができます。栄誉は、 事後に、自由に贈られ、現金化できません。値段は与える心を腐らせ、栄誉はおおむねそれを強くします。
- スティールマン(steelman)
- ストローマン(藁人形論法)の反対。反論に答える前に、それを可能なかぎり最も強い形に立て直すこと。 私たちの反論のページは、まるごとこの方法で作られています。
- PageRank(ページランク)
- Googleを機能させたアルゴリズム。重要なページからリンクされているページほど重要である、すなわち 重要さは重要なものから流れてくる、という考えです。インパクト本位制はこの直観を承認に借りつつ (仕事を知る人からの称賛はより重い)、中央での計算は拒みます。
- グッドハートの法則(Goodhart's law)
- 「測定値が目標になると、それは良い測定値であることをやめる」(訳。広く知られたこの言い回しは マリリン・ストラザーンのものです)。人がひとつの数字で評価されるようになると、その数字が本来追跡する はずだったものではなく、数字そのものを最適化しはじめます。インパクト本位制が数字になることを拒む 理由です。
- マタイ効果(Matthew effect)
- 「富める者はますます富む」を承認の世界に当てはめたもの。すでに承認された人は、実力と関係なく、 さらに承認を集めます。社会学者ロバート・マートンが1968年、「持っている人は、更に与えられる」という 福音書の一節にちなんで名づけました。インパクトの値打ちが減衰する理由です。
- 社会信用システム(social credit system)
- 中国の、国家が運営する「信用」のインフラ。ミームに反して、単一の市民スコアは存在せず、実態は 何百万件もの切符の購入をブロックしてきたブラックリストの寄せ集めです。国家運営で、強制で、不透明で、 生活の必需に結びついている。インパクト本位制に禁じられていることの、すべてがそこにあります。
- ESG/インパクト測定(ESG / impact measurement)
- 投資家のために、企業の環境・社会パフォーマンスを採点し報告する産業(ESG評価、IRIS+指標、 インパクト加重会計)。お金の流れを操舵する道具であり、有用ですが、このサイトの主題ではありません。 私たちが測るのはポートフォリオではなく人生であり、インパクトをドルに換算することもしません。
- ユニバーサル・ベーシックインカム(universal basic income, UBI)
- 全員に、条件をつけずに、定期的に現金を支払う仕組み。検証された事例(フィンランド、ケニア、アラスカ) では、働く意志を崩壊させることなく、ウェルビーイングが改善しました。床が存在しうるひとつの形です。 唯一の形ではありません。
- ポスト希少性(post-scarcity)
- 機械があまりに多くのものを、あまりに安く生産するため、誰も生きるために働く必要がなくなる、 ありうる未来。欠乏が終わったあとの世界です。ケインズは1930年にその一種を予測し、今日のAIのリーダー たちは別の一種を予測しています。このサイトでは、つねに「予測」と札を付けて扱い、決して約束には しません。
- 対数線形(log-linear・お金と幸福について)
- 所得とウェルビーイングの関係の形。所得が倍増するごとに、買えるウェルビーイングの増分は ほぼ同じだけ、ということ。3万ドル→6万ドルが一段に感じられるなら、次の一段には6万ドル→12万ドルが 要ります。お金は意味を失いはしません。ただ、1ドルで買える人生が、どんどん減っていくのです。
- 外部性(externality)
- 取引の外側にいる人々に降りかかる費用や便益。だから、価格はそれを見落とします。工場が代金を払わない 汚染。世界が代金を払わない無料のソフトウェア。お金が貢献を数えそこなう、教科書どおりの理由です。
- 金本位制 gold standard
- 紙幣が、現実の金への請求権だった、かつての仕組み。米国は1971年8月15日に最後のつながりを断ち、 以来、お金は集合的な信頼の上に浮かんでいます。文明が価値を何で裏づけるかは、ひとりの人生のうちに 変わりうる。その証明であり、インパクト本位制の土台にある比喩です。
- アノミー(anomie)
- 社会学者エミール・デュルケームの言葉(1897年)。欲望に形を与える共有の規範がなく、人生が錨を失った ように感じられる状態。彼はこれが、不況だけでなく好況でも増えるのを観察しました。目的なき繁栄は、 1世紀以上前から記録されてきた危険です。
- PICSY(ピクシー)
- 鈴木健の「伝播投資貨幣」(2009年)。各人の購買力が、社会への測定された貢献と等しくなるように、 GoogleのPageRankのような方法で計算する、設計された貨幣システムです。私たちの考えに最も近い先行例で あり、根本のところで異なります。PICSYは貢献を、取引から中央で計算します。私たちは、それは人から 贈られなければならないと考えます。